魔王14歳の抱き枕

2006 | 11 | 12 |
2007 | 01 | 02 | 06 |

2007-02-05

無条件絶対評価! 相手は死ぬ 01:53

私は「好き嫌いは人それぞれ」という言葉が大嫌いな人で、「好き嫌いは人それぞれ」な人は私の好き嫌いも認めてくれるはずなので断言しますが、価値相対主義なんて嫌いです。

cogniさんが生き生きしはじめたのです……! ええと、実は私も「錐の体積の公式」がどうーしても好きになれないのです。1/3になる理由を先生が教えてくれなかったので、積分覚えるまでずっともにょもにょしてました。

でも、好き/嫌いと正しい/正しくないはぜんぜん別の問題なので注意が必要です。いくら私が嫌いでも、やっぱり「錐の体積の公式」は正しいわけです。「好き嫌いは人それぞれ」ですけれど、正しい正しくない、優れている劣っているという差は厳然として存在しちゃうのです。

優劣の話をしているときに「好き嫌いは人それぞれ」という「よそから持ってきた基準」を持ち出して結論をうやむやにしてしまうのは、まさにcogniさんの言う通りの思考停止だと思います。ていうか明らかに間違ってますよね。「好き嫌いの話」なんてそこではしてないんですから。

と、そうは言っても、一点だけ厳重に注意しなければいけないことがあります。それは、ものごとの「優れている/劣っている」を評価する際には、必ず「誰にとって」「どういう価値基準で」という条件がくっ付いてくるということです。無条件の優劣の差、なんていうものは、やっぱり決して存在しません。100メートルと100キログラムはどちらが優れているか、なんて言われても答えようがないのです。

逆に、明確な価値基準さえはっきりとしていれば、そしてその判定方法が十分に明白であるのなら、価値相対主義が難癖を付ける余地は全くないということになります。「好き嫌いは人それぞれ」というの言葉それ自体は事実ですし、物事を考える際の大前提ですけれど、ここで思考停止正当化する理由にはなりません。で、

作品にも批評にも優劣はあります。秀作も駄作もあります。文章技術や語りの技術などが一番解りやすいですが、それ以外にも優劣を付けようと思えばつけられると考えています。

というcogniさんの言葉なんですけれど、私が分からないのも結局はここなんですよね。その優劣は何を基準としているんですか? っていう。

色んな基準があると思います。濃密な文章を評価する基準もあれば、簡素なそれを良しとする基準もあります。情景の描写よりも物語の構造を重視する価値基準がありますし、その逆もあります。通常は、そういった無数の評価基準が渾然一体となって一人一人の価値体系を作り上げているはずです。「ミステリー」や「SF」「エンターテイメント」など、ジャンル的な文化圏がその歴史の中で特殊な評価基準を作り上げている場合もあります。そして私が「批評畑」と認識している文化圏の評価基準も、そういったジャンル的な特殊化を遂げていると思っています。

これらの価値基準のどれから見ても劣っているとしか見做せない作品は、より一般的な価値基準から見ても「劣っている」と判断できるでしょう。そういう意味では、完全に客観的な評価基準は存在しなくとも、程度問題として"十分一般的と見做してよいであろう"評価基準は存在します。「作中にたまたま地元が出てきて共感した」とか「自慢の息子が描いてくれて嬉しかった」みたいな基準もあるにはあるでしょうが、そんなのは統計的誤差として切り捨てて通常問題ありません。

このようにして、やはり統計的な偏りとして広く作品の優劣を付けることは可能です。(ただしどんな場合でも、その評価が「価値基準の採り方」に依っていることは自覚しておかなければなりません) そして、こういったことを無視して無理矢理単一の価値基準を押し付けられるようなことがあれば、これはもう「好き嫌いは人それぞれ」(=どの評価基準を選ぶかは人それぞれ)という大前提に立ち返るしかないなあと。私がこの前の記事でこの言葉を持ち出したのはこういった意図からです。

「批評畑」の批評を見ていると、その価値基準が一体どこにあるのかよく分からなくなることがあります。おそらく「彼にとって」あるいは「彼らの文化圏にとって」といった価値基準が採用されているのでしょう。そこに「より広く一般的な価値基準」が含まれているとは限りませんけれど、それ自体は問題ではありません。問題は、ときとして「彼にとって」「彼らの文化圏にとって」という条件がいつの間にか隠蔽されてしまうことです。

故意にせよ偶然にせよ、主体を隠蔽された批評は往々にして普遍的評価基準であるかのように振る舞います。最悪の場合、この種の「よそから持ってきた評価基準」が権威化して「客観的評価基準」と認識されるようになり、それに合致しない作品を攻撃し出すことすらありえるのです。どこかの著名な批評家が「悪貨は市場から駆逐しなきゃ」みたいなことを言ってた覚えがあるんですけど、ひどい視野狭窄の言に思えて仕方ありませんでした。この人は自分に固有な評価基準を、そのまま普遍的で客観的な評価基準としてすべての作品に適応してしまえるんだなあと。

私が「批評畑って怖いなー」と思うのは、つまりこういった理由からなのでした。そして、こういった危険性にどのくらい自覚的なのかなーというのもひとつの疑問です。「こういうのは悪い批評だ」とか「こういうのを批評とは呼ばない」ということであれば、私が批評畑という文化圏に抱いている違和感は(少なくとも理念の上では)解消します。回りくどい言い方になってしまいましたけど、こう見えて実は数学系なので、細かいところが気になってしまうんですよね。本当は語尾に数字をつけてしまう癖を気力で抑制してるのですよー801

sirouto2sirouto22007/02/05 03:21http://rosebud.g.hatena.ne.jp/sirouto2/20070205/p1

私も批評的言語を少し使うので、Erlkonigさんの批判が当てはまるところもあります。そこで、批評畑の外から読めるかどうか、(他の記事の要約ですが)このグループで久しぶりに書いてみました。「読めない」ようであれば、私にダメ出ししてくれれば、それを考慮してまた新たな別の文章を書きます。内容は場所論で、抽象的な話なんですが、ここから「SaGaの塔」「ひぐらしの雛見沢」みたいな場所の話に展開していこうと思います。というわけで、もし何か感想がありましたら、よろしくお願いします。

hajichajic2007/02/05 20:51やおい関係ない。やおい。

ErlkonigErlkonig2007/02/06 03:24>sirouto2さん
 拝見しました。私の感覚がサンプルとしてどれほど適切かどうか分かりませんけれど、思ったとおりのことを言います。ここまでずっと「読めない」という言葉を使ってきましたけれど、これは正確には「途中で読むのをやめてしまう」ことを指していたことを、念のため断っておきます。以後、能力的に不可能で「読めない」場合と、心理的に敬遠して「読まない」場合とを区別することにします。
 「読もう」という意志を持って臨んだところ、「読めました」。大筋で意味も理解できたと思います。(ただし「異化」という言葉は辞書によっては載っていないこともあるので、ちょっと専門性の高い用語ですね。字面から意味は推測できますけれど、人によっては戸惑いを感じるかもしれません)
 ただし、今回は改めてコメントまでいただいたので「読もう」という意志があったのですが、それがなければ敬遠して「読まない」を選択していたろうとも思います。「「美少女ゲームにおける場所の発見」を読む」からして、いかにも"専門性の高そうな"印象を与えるタイトルで、その後の文章も論説文的な文体、雰囲気が障壁になっています。そして実際、最後まで読み通すのにもそれなりのエネルギーが必要でした。
 ……と本当に感じたままのことを書きましたけど、こんなのでよかったのでしょうか。さすがにリーダビリティの問題を言い出すときりがないですし、私はかなり質の悪い方の読者な気がしますし、読む意志のある人はそんなの気にせずちゃんと読むでしょうし……何か間違えた気がします。純粋に「読解可能か」だけを見ておけばよかったでしょうか。

sirouto2sirouto22007/02/06 08:40http://rosebud.g.hatena.ne.jp/sirouto2/20070206/p1
ありがとうございます。今度は自分の文章のみで、もう少し平易に書きました。前日のエントリと同じ問題意識で書いてますが、どうしても思考が薄くなります。確かに無意味に抵抗感と閉鎖感を与える振る舞いを避けて、なるべく透明に書きたいのですが、専門用語には思考の「車輪の再発明」を防ぐ面もあるので難しいところです。「異化」と言わずに同じことを説明すると文章量が膨大になります。Erlkonigさんが数学系だということで喩えると、数式を使わないで理系的な思考を表現することの難しさに近いかもしれません。やはり興味がないものは読まないものだと思うし、それはそれでいいのですが、批評的言語を使うことにそれなりの必然性があることを、どうやって表現すればいいか悩んでいます。とりあえず、今回の文章で、個別の作品のレビューとはまた違った問題意識が存在する、というのが、もし何となくでも伝わればいいなと思っています。もちろん別に批評のために批評を書くというわけではなくて、Erlkonigさんのような良質な読者に読んでもらって、思考が伝わって、もしフィードバックが帰って来ると嬉しいので、なるべく読まれるように書く努力はしたいと思います。先に嫌になってしまうかもしれませんが…。

ErlkonigErlkonig2007/02/12 04:41用語を使うことの意義は分かります。相手が理解している場合は用語を使った方が明らかに簡潔ですし、その方が意図が正確に伝わる場合は多いと思います。用語を知らない人が自発的に意味を調べるよう仕向けられればいいんですが、それもまた難しい話ですね。私の場合、「異化」くらいなら正確な定義は知らなくともイメージくらいはできるんですけれど、「差延」とかになるとギブアップです。新しいエントリはかなり取っ付きやすく、ひっかかるようなところもありませんでした。日記文体じゃないと読めない、見たいな人でない限り抵抗なく読めるんじゃないかと思います

TimTim2012/04/21 22:12Short, sweet, to the point, FREE-exatcly as information should be!

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