きゃっと・ふぃすと@美少女ゲーム年代記

2007-02-05

伝奇燃え美少女ゲーム 20:03 伝奇と燃えと美少女ゲーム - きゃっと・ふぃすと@美少女ゲーム年代記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 伝奇と燃えと美少女ゲーム - きゃっと・ふぃすと@美少女ゲーム年代記

http://rosebud.g.hatena.ne.jp/crow_henmi/20070104/1167905346

より、表題について喋ってみます。

まず、自分のサイトから参考記事。

http://catfist.s115.xrea.com/wiki/wiki.cgi?page=Diary%2F2005%2D09%2D18#p0

http://catfist.s115.xrea.com/wiki/wiki.cgi?page=Diary%2F2005%2D09%2D22#p0

http://catfist.s115.xrea.com/wiki/wiki.cgi?page=Diary%2F2005%2D11%2D04#p3

泣きゲーに対する、シナリオゲー/ノベルゲー分野でのカウンターパートとして、1999年から2000年にかけて、Nitro+から『Phantom of Inferno』、TYPE-MOONから『月姫』が出てくるわけです。

ここにおいて、ファントムではハードボイルド路線、月姫では伝奇路線が選択されたのですが、それは美少女ゲームに特徴的なシナリオ構造によります。すなわち、ヒロインを選択することによってシナリオが分岐する。よって、各シナリオは選んだヒロインについての物語になるということですね。

また、分岐が起こる以前のシナリオは各ヒロインについてほぼ共通であることから、それぞれのシナリオに独自なテーマは、ゲーム開始以前における各ヒロイン人生に求められます。かくして、トラウマゲー大量発生となったわけですね。

ただし、分岐したシナリオ個別のテーマ性をヒロイン精神トラウマのみに求める場合、物語上の当然の要請として、そのトラウマ主人公との関わりに求められやすく、結果、主人公記憶喪失になったり分裂病じみてみたり大忙し、ということになります。

一方で、各ヒロインに個別の事情を、その所属する共同体に求めることもできるわけです。月姫では「真祖」「埋葬機関」「遠野」といったものですね。この場合、主人公ヒロインの所属する共同体との関係においてヒロインとの縁を見出すことが可能です。かくして、ヒロインに過酷な生をもたらしている共同体ニュートラル主人公の接触、現代学園異能の構図が完成することになります。

この際、主人公は、複数のヒロインに対応するために多くニュートラル立場を求められますので、結果としてヒロイン側の事情に「巻き込まれる」こととなります。ヒロイン個別の事情を精神的なトラウマに求めるのであれば、そこに関わってさえいれば「関係ない話」とはならないわけですが、原因を所属する共同体、すなわちヒロインの背景性に求める場合、その全てに関わっているというのは困難です。

しかし、巻き込まれているだけではカッコいい主人公を描くことは難しい。ヒロイン側の事情に積極的に関与する意思が求められますが、何の背景性も持たない主人公にそれを求めるのは、たいがい酷です。よって、ヒロイン個別の事情を背景性に求めるならば、主人公に対しても相応の背景性が求められます。すなわち、ヒロインの事情に拠らない主人公自身の物語が、構造的にも要請されます。それがファントム・ツヴァイであり、殺人貴としての遠野志貴です。

「男泣き」とでも呼ぶべきハード路線と泣きの融合」に関してですが、これは主人公物語ヒロイン物語の並立ということで、説明できます。『斬魔大聖デモンベイン』は、その意味で優れて『Phantom』の後継です。これを受けてTYPE-MOONが『Fate/stay night』をリリースしたことも、また、当然といえるでしょう。

以上のように、伝奇の隆盛は、単なる泣きゲーカウンターパートとして要請されたのみならず、シナリオゲームという形式によく合致していることが大きいでしょう。それは、リーフビジュアルノベルシリーズの第二弾として『痕』という先行作品があることを鑑みれば、明らかなことです。『月姫』の構造はヤバいくらい『痕』に似ていますが、インタビュー等を信じるなら那須きのこ氏は『痕』をプレイしていなかったようですので、単なる車輪の再発明でしょう。構造的必然、というやつです。