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Friday, 2009/02/06

『ハーフリータ』 2000年2月

虹の旅出版」ならびに『ハーフリータ』についての覚書  「虹の旅出版」ならびに『ハーフリータ』についての覚書 - 博物子 を含むブックマーク はてなブックマーク -  「虹の旅出版」ならびに『ハーフリータ』についての覚書 - 博物子

1位の「上藤政樹氏」が55冊とずば抜けています。しかし、正直この数字が出るまで情けないことに、この作家さんの事をほとんど知りませんでした。

(中略)

虹の旅出版」という聞いたこともない出版社から半分以上出ています。彼はもともと同人作家で、同人メインでマンガを描いているらしいのですが、自分の同人誌を正式なマンガとして出版するためだけの出版社を設立し、今まで描いた同人誌などをどんどん出版しているようです。なので、「虹の旅出版」から出ている本はほぼ全て上藤政樹氏のものしかありません。同人誌を専門店で売るのではなく、自分で出版社を立ち上げ...

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 私も上藤政樹について詳しくはありません。しかし,ここに引用した文章が,少なくとも虹の旅出版に関しては明らかな誤りに基づいて書かれたものであることを指摘できます。以下,詳述します。

 話は,昭和末期の1986(昭和61)年に遡ります。この年,松文館より『ハーフリータ(HALFLITA)』というマンガ雑誌が創刊されました。表紙はいがらしゆうを起用。連載陣には大野哲也智沢渚優ひんでんブルグみずきひとし蘭宮涼――といった面々を抱えており,1990年代に活躍した漫画家達の揺籃として少なからず寄与したと言えるでしょう。

 私見を添えておくと,『ハーフリータ』のコンセプトは,今日における『コミックエルオー(COMIC LO)』に通じるものがあったように思います。昨今では『LO』の〈意見広告〉が度々耳目を集めておりますが,自社広告にメッセージを込めるという手法は『ハーフリータ』にも見出すことができます。

 ところが,宮崎勤事件をきっかけとして,1990年前後の時期にコンテンツ産業は《厳冬期》を迎えます。『ハーフリータ』は1991(平成3)年をもって休刊しています。さらに,発行元であった松文館も1993年前後に経営主体が変わっています(つまり,ブランドとしての「松文館」は継承されているが,その人的構成は別な組織です)。このことは,以前,図版引用のために(現)松文館著作権管理担当者の方に版権の所在について問い合わせた際に確認をとっております。

 『ハーフリータ』の特徴として,読者欄等で編集長(愛称:船長)がキャラクター性を発揮していたということが挙げられるでしょう。

 その編集長(船長)氏が松文館を辞め,立ち上げた出版社こそが虹の旅出版なのです。このことは,智沢渚優『魅少女まっしゅグリル』(1994年10月,ISBN:4931343015)の「あとがき」に於いて明記されていることです。そうした経緯があるため,「虹の旅出版」から単行本を出しているのは『ハーフリータ』に縁のある作家であり,収録作品は同誌に掲載されながらも松文館からは単行本として出されなかったものが多いのです。それ故,かつては『ハーフリータ』で活躍していた作家達が新しい雑誌媒体等に活動の軸足を移すに連れ,「虹の旅出版」から刊行される本は少なくなっていきました。

 件の上藤政樹が「虹の旅出版」から単行本を上梓するのは2000年に入ってからのことあり,その経緯については私の関知しないところです。

 確かに申し上げられることは,2002年以降のデータだけを参照して「虹の旅出版上藤政樹の個人出版社として設立された」という帰結を導いているのは,史実に合致しないということです。『ハーフリータ』については旧聞に属する話ですのでご存知なくとも致し方ない話でありますけれども,誤った情報が『えろまんがけんきゅう』を標榜するサイトで開陳されるのは困るので,書き記しておきます。

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