1988-1992「東のエルフ,西のアリス」

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1988-1992「東のエルフ,西のアリス」

1987年

 美少女ゲームが歩んできた道筋を知るための文献資料として,ISBN:4821107171『パソコン美少女ゲーム歴史大全』(2000年10月,ぶんか社)という本がある。1982年から2000年までに発売された作品を網羅的に扱っており,カタログとして便利な一冊だ(残念ながら絶版になっており,中古市場ではかなりのプレミアがついている)。同書が一覧に載せているタイトル数を数えると,次のようになっている。

  • 1982年: 2作
  • 1983年: 13作
  • 1984年: 14作
  • 1985年: 12作
  • 1986年: 35作
  • 1987年: 44作
  • 1988年: 68作

タイトル数が急激に増加を始める1986年頃の状況については前章《1986「〈美少女〉の生成」》で述べたところであるから,本章では1987年から話を引き継ぐことにしよう。

F&C

 1987年に発売された44タイトルを仔細に眺めると,うち2割を占めて圧倒的な存在感を見せているのがフェアリーテール(Fairytale)である。この年の間だけでも,

と9作を送り出しており,旺盛な製作意欲を見せつけている。フェアリーテールは,ジャスト(JAST)から独立したメンバーによって設立された有限会社キララ(後にアイデスと改称)のブランドであり,初期には蛭田昌人(後にエルフを設立)や阿比留壽浩(後にミンクを設立)らが牽引役となっていた。

 1989年に,ジャストと共同してカクテル・ソフトを設立。デビュー作『きゃんきゃんバニー』に代表されるように,ポップな作風の作品を送り出していく。

 こうして生まれた「フェアリーテール」&「カクテル・ソフト」のを二本柱とする企業体は,形を変えながらも今日まで存続しており,栄枯盛衰の激しい美少女ゲーム業界において実に息の長い活動を続けている(もっとも2000年前後には混迷した状況になるのだが……それはまた改めて)。

編著 おおいしげん(id:genesis
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