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2007-02-06美少女ゲームのインタラクティブ・インターフェイス論(12)

Phase(12)「ゲームの時間表現」 Phase(12)「ゲームの時間表現」 - 萌え理論Rosebud を含むブックマーク

RPGの時間表現

まずRPGを見てみます。多くのRPGでは、時間概念を曖昧にしています。例えば、ストーリー進行上は明日何かが起きるとしても、何回でも宿屋に泊まれるとか。その代わり、場所の移動とレベル上げによって単調さを避け、また部分的に時間が導入されていきます。例えばドラクエシリーズでは『ドラゴンクエスト3 そして伝説へ…』で昼夜の概念が登場し、街の生活感が出ます。

さらに独自の時間表現があります。GBのRPG『魔界塔士 SaGa』の時間の概念に注目しましょう。ゲームは塔を昇ることで進行していくのですが、単に横を縦にしただけではなく、マップ平面をレイヤーのように積み重ねることで、バラバラの時間(時代が別の世界)を表現したことが面白い。

せきぞう「とうのなかでは じかんのながれが

 いっていして いないのだ。」

しかし、シリーズ完結編の『時空の覇者 SaGa3』では、過去・現在・未来という直線上を移動する平凡なタイムトラベルものになってしまいました。続編だけあってゲームバランスなどの完成度は高くなっているのですが、それと引き換えにラディカルな面白さが減じています。

広義のSaGaシリーズはその後も続いていて、『ロマンシング SaGa2』では、皇帝になり歴史を作っていくという、大きなスケールの時間の流れによって、ストーリー・システム共にやや難解ですが面白くなっています。ボスを倒す順番によって、物語の進行も戦闘の難易度も変化します。

ADV・SLGの時間表現

さて、美少女ゲームを見ていきましょう。『同級生』シリーズでは、マップ上の移動によって時間経過します。MAPを移動する点でRPGに近いのですが、時間経過することでより現実の時空に接近しています。しかし、その分攻略が複雑になりすぎたせいもあるのか、このタイプは後の主流になりませんでした。ただし、成功例はあります。『サクラ大戦』シリーズでは時空の範囲を適度に制限し、かつ話数によって分割することで複雑性を制限することで、遊びやすさを確保しています。また、現在この場所型のシステムを採用する場合、攻略キャラクターがどこにいるのか示すことで、やはり複雑性を抑えるのが一般的です。

『卒業』『プリンセスメーカー』『ときめきメモリアル』各シリーズは、カレンダー型の時間経過システムを採用しています。場所移動型がRPG的なら、こちらはSLG的ですが、時間の流れという観点から見ると、時間感覚がSLGのスケジュール上とADVのイベントに分裂しているところが興味深いところです。例えば、喧嘩するイベントと仲直りするイベントがあるときに、パラメータやフラグで分岐するために、二つのイベントの距離が一日だったり一ヶ月だったり伸縮します。間抜けになってしまう場合が多いのですが、長い時間を置くことで、何気ない台詞でも重みが出てくる場合もあります。

『井上涼子(ROOMMATE)』シリーズは、ゲーム機の内部時計によって、リアルタイムな時間を再現しています。『Noel』シリーズのように虚構内の時計を調節できるものも含めて、時計型とします。エロゲでは3Dのリアルタイムのレンダリングと親和性が高いので、採用されることがあります。やはり攻略が面倒になってしまうことがあって、このタイプのゲームはあまり流行しないのですが、例えばVNIのゴーストなども近い形だし、ゲームという枠を超えて、この形式が活きる可能性はあります。

エロゲにおいて最も流通している、いわゆる紙芝居型のノベルゲームは、時間進行はテキストの記述に任されているので、物語型としておきます。ここで、ノベルゲームに特徴的な形式として、反復型のゲームを挙げられます。円環状に同じ時間を何回も反復するという時間経過のシステムです。『Never7』『EVER17』『Prismaticallization』などがあり、特に『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』の自由度の高さは非常に興味深いところです。「YU-NO」のマップ画面は、最初に挙げた場所移動型のマップとは決定的に異なっています。それは時間と空間を一枚の平面で表しているからです。

美少女ゲームの時間表現

  • 場所型(ADV)
  • 時刻型(SLG)
  • 物語型(NOVEL)

整理しましょう。大まかに分けると、上の三つになります。物語型には反復という特徴的な形式があります。また反復ではありませんが、無時間型のゲームがあります。閉鎖空間ものの『慟哭』『蘇生』は、建物の中にいるので太陽が見えず、時間感覚が失われます。背景と現在の時刻のズレが見えなくなるので、緊張感を出すのに向いています。ジャンルは違いますが、『バイオハザード』シリーズも、「長い一夜」という同系統の時間経過です。

いっぽう対照的なのは、場所移動型のゲームにおける、時間経過の早さの演出です。『EVE』シリーズでは、計測したわけではないしプレイの仕方で違ってきますが、夕暮れから夜になるのが異様に早く感じられます。それと捜査の進展状況などとの兼ね合いで、叙情的な演出効果が出ます。音楽ほど厳しくはないですが、ゲームにおける時間の扱いによって、プレイのリズム感・テンポ感に大きな差が出ます。